sohramame’s 「吉備の古代を想う」吉備氏・尾張氏

岡山(吉備)の古代史についてですが、上古代日本史全般についても書いてます

フトニ(孝霊天皇)のお話

第7代孝霊天皇のお話です。クニオシの子で、第10代イニエ(崇神天皇)の父です。記紀の記述と違いでしょう?これが真実の歴史です。会話・心情は創作ですが設定・背景は事実だと考えてます。

#フトニ 1
フトニはクニオシの子、長男
磯城の妃から生まれた子ではないが
父から愛され
才気煥発な若者に育った
もう少し待てば
誰からも王と認められる器量を発揮するはずが
突然の父の死で
フトニが20歳の時
王に推挙された
いや、心の準備が…
と言う間もなく
合戦に連れ出され
王の仕事が始まった

#フトニ 2
フトニを連れ出したのは
イササワケ、ハズラワケの2人の大将
どちらも戦好きの武人だった
もちろん2人のおかげで
ヤマト国は
ほぼ奈良盆地を手中にしたが
フトニは今ひとつ気が合わなかった
粗野なのである
彼は気品というものを大事にした
なので
適当に褒め称えて
前線は彼らに任せた

#フトニ 3
フトニが王になる頃は
奈良盆地をほぼ手中に収めたので
宮を
思い切って
白橿原から北の方の
黒田に廬戸(いおと)宮を造った
ここからなら西に、北に、東に
交流の道を広げやすい
かつてイワレヒコが難波の海から
やって来て撃退された道も
自分の支配下になる
フトニは少し誇らしかった

#フトニ 4
フトニが王になる時
やはり慣例通り磯城一族から妃を…
とはならず
かねてから意中だった女子を迎え入れた
それは
イワレヒコを導いた珍彦の子孫
それは倭(やまと)家のクニカ姫だった
クニカ姫は珍彦のように
物怖じしない捌けた女性で
フトニはその
クールな雰囲気に惚れてしまった

#フトニ 5
フトニとクニカ姫は
熱烈に子供がほしい訳ではなかったので
しばらくは二人の恋を楽しんでいた
一緒に国を見回りもした
夫婦となって7年位で
そろそろ男の子でも作ろうかぁー
と頑張ってみたら
見目麗しい女の子が生まれた
二人はその子をモモソ姫と名付けた
彼女は早速巫女の才を発揮した

#フトニ 6
フトニの娘、モモソ姫は
7歳くらいの頃突然王に告げた
三輪山の神が
私に磯城一族の男と夫婦になりなさい
と言われたが私は
磯城の男は潰えます
私が夫にできる男はいません
と神に返答した

また明くる年に私に弟が出来ます
とも言った
フトニはそれを聞いて
半信半疑で子作りに励んだ

※モモソ(百襲)姫は、後に弟イニエ(崇神天皇)の巫女として活躍します。

#フトニ 7
翌年モモソ姫のお告げ通り
男子が生まれた
泣き声をあげなかったので
逆さにして尻を叩くと
ヒャヒャヒャと笑いだした
モモソ姫も弟を見て何かを感じるらしく
じっと見つめてニンマリしてる
フトニは
何か普通の子とは違う
と少し気味悪くなり
母ヤマト姫の里に置いて
存在を忘れてしまった

#フトニ 8
フトニには母違いの弟がいた
磯城一族の後押しもあるだろうし
いずれその弟が王を継ぐだろう
もしかしたら弟の子が
その次の王になり
我が子には廻ってこないかも
気味が悪くても
我が子には王になって欲しい
そう思うと
イササワケやハズラワケを
味方につけて置かなければ
と心を改めた

#フトニ 9
フトニは20年ほど王を務めたが
娘のモモソ姫が生まれたのが8年目くらい
息子のイニエが生まれたのが15年目くらい
その後は自分の余生があまり長くないことを悟り
少しばかり国を広げ
大いに内政に励んだ
実りの多い良い時代を迎え
40歳になる頃に病を冒し
死を迎える床に就いた

#フトニ 10
フトニは息を引き取る直前
葛城山が見える処に葬って欲しい
とクニカ姫、モモソ姫に告げた
両者は
はい、と答えた
陵は希望の場所に造られることになったが
モモソ姫は母や宮臣に提案した
王を安置する円墳に接するように
祭壇となる四角い山を造りましょう
そして王を末永く祀りましょうと

#フトニ 11
フトニの殯の儀式は盛大に行われた
次に王となる弟は
陵の形と大きさ
今までにない葬礼の豪華さに心奪われていた
きっと同じような事をするのだろう
息子のイニエはじっと
父が眠ってるであろう
墳丘の頂上を見ていた
そしてニマッっと笑った
父を越えてやるぞ!
と言わんばかりに

※イササワケは吉備津彦の親、ハズラワケは彦坐命の親で、フトニの子は吉備津彦、彦坐命の活躍で大ヤマト王国と築きます。
 カエシネ(孝安天皇)-イズキヒコ-イササワケ-吉備津彦命
 カエシネ(孝安天皇)-イズキヒコ-ハズラワケ-彦坐(ヒコイマス)命。
※フトニ(孝霊天皇)の陵は前方後円墳の始まりだったのではないかと思ってます。また現在治定されてる処とは別の処にあると思います。
 (それがどこかは特定できてませんが)

次王の話に続きます。