sohramame’s 「吉備の古代を想う」吉備氏・尾張氏

岡山(吉備)の古代史についてですが、上古代日本史全般についても書いてます

クニオシ(孝昭天皇)のお話

@kmichi13 2018年9月22日
第6代孝昭天皇のお話です。スキトモの子で、大人になるまでカエシネが代行の王を務め、成人後王になった人です。記紀の記述と比べて、孝安天皇孝昭天皇の順序、和風諡号は入れ替わってます。会話・心情は創作ですが設定・背景は事実だと考えてます。

#クニオシ 1
クニオシは父スキトモの顔を知らない
というか記憶にない
病気やけがで死なないよう
母、太真若姫に大切に育てられた
おかげで健康に大人になれたが
父を知らずに、王になれ!と言われても
ピンとこないものがあった
カエシネがずっと
王を続けてくれてもよかったのに
とも思った

#クニオシ 2
そうは言っても王になった以上
宮臣は色々求めてくる
判断したり命令したりするのは苦手では無いが
外に出て外交や戦や交渉するには
経験が足りなかった
しかし
そこはカエシネの子・孫たちが補佐してくれる
2年もするとクニオシは
政治を彼らに殆ど任せるようになり
自身は宮に籠った

#クニオシ 3
クニオシは宮を
カエシネの秋津島宮の近く
葛城掖上に造った
むろん宮臣が勤めやすいの第一だが
母の里三輪山にも行きやすいとこだった
先王が国を固めたので
カエシネの子たちは
奈良盆地の北半分を征服すべく
徐々に北への侵攻を強めた
クニオシは
頼もしいことだ
とそれを見ていた

#クニオシ 4
先王カエシネの子・イズキヒコは
北への進軍の隊長だ
クニオシ様、たまには進軍の視察をしませんか?
と誘っても出たがらない
怖いのだ
だが宮の近く西の葛城の方には
よく出かける
どこに行ってる?
と宮臣が後をついていくと
美しい女性が出迎え館の中に消えた
ヨソ姫という人の家だった

#クニオシ 5
クニオシは王になると同時に
これまでと同様
磯城一族から妃をあてがわれた
名を細姫(クワシヒメ)という
しかしクニオシは王となる以前から
葛城の尾張一族の女
ヨソ姫と偶然出会い恋に落ち
子を設けていた
事実を知り仕方なく
磯城の棟梁・太真若彦は
ヨソ姫を妃として宮に迎え入れた

#クニオシ 6
クニオシはヨソ姫との間に男子を
細姫との間にも男子を儲けた
当然ヨソ姫との子が年上なので
先に王になる資格がある
磯城一族の女から生まれていない
初の王になるかも
太真若彦は
それでいいのか?と自問した
いっそ、その子を暗殺しようか?
その時オキツヨソという
ヨソ姫の兄が現れた

#クニオシ 7
オキツヨソは太真若彦に言った
磯城さんばかりズルいじゃないですか
イワレヒコの血をがっつり取り込んで
吾達の先祖タカクラジ(高倉下)も
イワレヒコに貢献してるんですよ
ここらで吾達の血も混ぜてくださいな
真相を突かれて太真若彦は
ぐぬぬ、と何も言えなかった

#クニオシ 8
まぁ次の王は
長男だしヨソ姫の子が継いで
その次に細(クワシ)姫の子が継いでくれればよいか
と太真若彦は呟く
あまり磯城一族独占に
拘らない方がいいな
と一人合点して
オキツヨソの言に従うことにした
そのことをクニオシ王に告げると
彼は大変喜んで
長男に英才教育を施した

#クニオシ 9
クニオシの長男は
心身共にすくすく育ったが
1つ気がかりなことがあった
宮の西の葛城山には喜んで出かけるが
東の三輪山には行こうとしない
行くのを怖がっている
三輪の神が恐ろしいらしい
これは王になったときに
問題の種にならなければ良いが
とクニオシは憂いた

#クニオシ 10
クニオシは25歳で王となり
健康に長期政権を築くかと思われたが
元々あまり丈夫でなかったようだ
9年ほど王を務めて
34歳で薨った
重臣だった先王カエシネの子たちも
同じ頃に亡くなり
宮の顔ぶれが一気に刷新されることになった
磯城一族の推挙もあり
長男のフトニが王に就いた

次王の話に続きます