sohramame’s 「吉備の古代を想う」吉備氏・尾張氏

岡山(吉備)の古代史についてですが、上古代日本史全般についても書いてます

イワレヒコ-神武東征 第3部「中洲突入-決戦」

おさらいです。出発地は筑紫・伊都国(糸島市)、難波から紀伊水門を経由し、紀ノ川遡上~吉野~宇陀~橿原が正しい東征のルートと考えています。

#イワレヒコ 41
イワレヒコ一行は早速近くの高倉山に登り
中洲の方向を見渡した
オトウカシの情報通りあちこちの山腹砦に
煙が立ち上るのが見えた
珍彦は言った
敵はまとまると強大っすよ
ここは静かに近づいて行って
各個撃破!そのためには策を弄する必要ありっす
イワレヒコもそれに異存は無かった

#イワレヒコ 42
イワレヒコは動き出す前に願をかけておきたかった
オトウカシに聞いた
中洲で1番近い聖なる山は?
答えは
あそこにポツンとあるなだらかな嵩山(天香山)です
ならその山のものをとってきて欲しい、そうだな、土を
人選は敵地に入って行くので
珍彦と道案内としてオトウカシになった

#イワレヒコ 43
珍彦は爺さん、オトウカシは婆さんに変身した
あまりに似合いすぎてイワレヒコたちに爆笑されたが
これなら敵にバレまい
二人はまる1日かけて山の土をとって戻ってきた
そしてその土で捧げ物を盛る器を作り
流れの清らかな川でこの地の神と天孫の神に祈りを捧げた
これで望みは叶う!

#イワレヒコ 44
イワレヒコたちは慎重に前進し国見ケ丘に差し掛かる
偵察により
敵の女軍には名草の女性兵士を
男軍には珍彦の配下の兵士を
それぞれ当たらせ
残りは伏兵として途中から一気呵成して
雌雄を決した
会心の勝利で気を良くしたイワレヒコに
ニウヒコ(道臣命)が進言した

#イワレヒコ 45
ニウヒコ(道臣命)は
山を降りて磐余の兵を我々の女兵隊が
おびき寄せますので
残りの兵を東から廻して
挟み撃ちにしてはどうでしょう?
と言う
イワレヒコは賛成だったが
その前に磐余の磯城兄弟を味方につくよう
誘ってみよう
と返した
その交渉にエヒコ(八咫烏)が赴いた

#イワレヒコ 46
エヒコ(八咫烏)が磯城兄弟を訪れイワレヒコの意向を伝えた後
兄弟は話し合った
今日が吾達の、磯城氏族の
運命の分かれ道かもしれんなぁ
だから弟よ、どちらに転んでも磯城が滅びぬよう
二人は袂を分かとう
兄は残って中洲連合を支える
弟はイワレヒコに従え
それで磯城は生き残る

#イワレヒコ 47
磯城兄弟の敵味方分かれる返事に
少し違和感感じながらも
イワレヒコは磐余支配のために進軍を始めた
オトシキ(弟磯城)は山側で後詰待機していたが
こちらの囮女軍にエシキ(兄磯城)達が突っ込んでくるのが見える
ここでイワレヒコを裏切って兄側に付けば
兄は勝てるだろうか?

#イワレヒコ 48
そうオトシキが思った瞬間、イワレヒコが
今だ!包んで殲滅しろー!
と号令し、弓部隊がブンブンと弓を射る
イワレヒコ軍団には若さと勢いと力強さと未来がある
そして自分もその中で活躍するビジョンを見てしまった
オトシキは寝返るのを止め
許せ!と呟きながら兄の軍に突進した

#イワレヒコ 49
イワレヒコはエシキの軍を蹴散らし
磯城を、磐余を制圧し平野に出る権利を得た
この地を支配し連合の一員としてスタートする
のもありかも
と一瞬思ったが
兄イズセの無念を晴らさなければ
そして今自分に付いてきた非主流派の人々に
夢を与えなければ
だから長脛彦との決着をつける!

#イワレヒコ 50
オトシキ、オトウカシ、エヒコ(八咫烏
ニェモ、イヒカ、イワオ
ニウヒコ(道臣命)、タグリヒコ(高倉下命)、珍彦
彼らのためにもイワレヒコは
この中洲の王とならなければならない
そしてこの地を伊都国のように
吾の都としたい
そう兄に誓い
この地の神と天孫の神に祈りを捧げた

#イワレヒコ 51
次の日朝早くからイワレヒコは進軍を始めた
そしてすぐに北からの大軍とぶつかり足を止めた
両軍が対峙したまま互いの長らしき者が前へ出る
吾は中洲連合の代表、ミマツヒコ(長脛彦)なり
吾は西の伊都国王族、イワレヒコなり
お互いいきなり戦をせず
交渉することにした

#イワレヒコ 52
イワレヒコ!中洲連合の一員となるか
それが不服なら、西に帰れ
吾たちの平和を妨げるな
とミマツヒコは言う
兄を殺した奴の仲間になれるか
とイワレヒコは思ったが
敵軍の中に同じ色・形の弓矢を靭に収めた一軍を見つけ
不意に気が変わった
考え直して明朝来る
とミマツヒコに言った

#イワレヒコ 53
あれは西から来た者の兵に違いない
名は何という?
イワレヒコはオトシキ、オトウカシに問うた
彼らは応える
親父の代にニギハヤヒと言う人が現れ
あっという間にこの中洲をまとめ上げ
連合を組織しました
今はウマシマチという孫が継いでいます
ニギハヤヒかぁ
イワレヒコは呟いた

#イワレヒコ 54
ニギハヤヒかぁ
良く知らんが吾達天孫から早くに
分かれた人なのかなぁ、仲間にしたい
エヒコ!
ウマシマチを訪れ
吾が王族に仕え天孫の名を世に広めぬか?
と問うてくれ
イワレヒコはエヒコに命じた
すると珍彦とタグリヒコが
それに附いて行くと申し出た
何か秘策があるのか?

#イワレヒコ 55
…と申しております
ウマシマチを訪れたエヒコが言った
だがウマシマチはあまり浮かぬ顔だった
天孫のプライドにはそんなに関心は無かったし
それで寝返る気にはなれなかった
不意にタグリヒコが剣をもって近づく
珍彦もキラキラ光る鏡をもって
ウマシマチに詰め寄った

#イワレヒコ 56
私が持つこの素晴らしい剣、とタグリヒコ
私が持つこの美しい鏡、と珍彦
二人は声を揃えて
これらを貴方に差し上げ
これからも貴方に贈り管理していただきます
どうですか?
宝物を間近に
ウマシマチはうっとりと見ていた
それなら寝返るのも悪くないかもな
心の中で呟いた

#イワレヒコ 57
ウマシマチから快諾の返事はもらえませんでした
しかし吾達の提案を聞いた時の目は輝いてました
なので、もう一押しすればいけるかと…
と珍彦はイワレヒコに報告し
耳元で何かを呟いた
イワレヒコは一瞬「えっ?」という顔をしたが
すぐに納得して頷いた
では明朝出陣する!

#イワレヒコ 58
イワレヒコ軍は日の出とともに北西に進み
待ち構えるミマツヒコ(長脛彦)軍と対峙する
イワレヒコ!吾達の連合に加わらねば
お前たちを殲滅するぞ!
とミマツヒコ
吾を信じて付いてきた者のために
吾はこの地の王となる
服従はせぬ!
とイワレヒコ
戦いは不可避と知り正面から戦闘開始

#イワレヒコ 59
正面から
と言ってもがっぷり四つでは
ミマツヒコ軍の物量に負けてしまう
そこはヒット&アウェイ
押したり引いたり
で、相手を揺さぶろうとするが
自信満々のミマツヒコは
デンと構えて揺さぶりには応じない
このままではじりじり押されて
時と共に敗色濃厚になる
イワレヒコは焦った

#イワレヒコ 60
どうしよう?
このままでは吾と兄の夢が潰えてしまう
その時珍彦とタグリヒコが現れ言った
イワレヒコ!
わが軍を左側に集めそこから敵を総攻撃しましょう
吾は軍を移動し、準備できたら
あの丘の上で剣をかざし開始の合図をしてくだせー
これが成功するかどうかで
命運が決します

(第4部に続く)