ヌカワミミ(綏靖天皇)のお話
本当は次はタギシミミの執政が入りますが、次代天皇のヌ(ナ)カワミミ(綏靖天皇)のお話です。会話・心情は創作ですが設定・背景は事実だと考えてます。
#ヌカワミミ 1
(記紀ではヌナカワミミですがお話の中ではヌカワミミです)
イワレヒコ(神武天皇)を継いだのは
タギシミミ
山本の国を勝ち取った王ではなく
伊都国から呼び寄せられた王
そんな人に磯城を含むこの国を
支配して欲しくない
黒速もイスズ姫も
息子ヌカワミミも
日に日にその思いは募った
#ヌカワミミ 2
建国の功臣たちと共に苦労してないながら
タギシミミは上手く国を治めた
ヌカワミミの兄のヤヌイミミが
タギシミミと仲が良いこともり
彼はヤヌイ、ヌカワに王位を譲ることなど
眼中にない
嫂婚制により神武の妻を我妻としたが
イスズ姫姉妹が子を授かり
その子が王位に就く保証はない
※嫂婚制(そうこんせい)…天孫族の祖、遊牧騎馬民族は王の死後、王の息子が王の妻を自分の妻とするしきたり。
#ヌカワミミ 3
それが分かったので
黒速・イスズ姫は
タギシミミを亡きものにしよう
と決めた
イスズ姫は当然黒速が刺客になってくれると思ったが
彼はイワレヒコの生前の喜びの顔を思い出し
渋い顔をした
イスズ姫は言った
兄上(兄磯城)との誓いを忘れたの?
黒速は正気に戻り今夜実行すると言った
#ヌカワミミ 4
黒速・イスズ姫はヤヌイ・ヌカワの兄弟に
これから行うことを明かした
ヤヌイミミは震えて泣きそうになっていた
黒速が決してタギシミミには言うな
と念を押した
ヌカワミミは兄を蔑むような眼で見ながら
微笑みでイスズ姫を見返した
今宵はイスズ姫が王のお相手をする夜だった
#ヌカワミミ 5
翌朝領内を見て回る予定だったので
タギシミミは寝所に入り早々と眠りについた
イスズ姫はそっと寝所を開き
黒速を招き入れた
寝息を立てる王・タギシミミの傍らに立ち
黒速は神に祈るように目を閉じたのち
キラリと光る短剣を両手に持って振りかぶる
その時タギシミミが目を開いた
#ヌカワミミ 6
固まった黒速を見ながらタギシミミは口を開いた
昼間ヤヌイミミの様子がおかしかったから
何かあるかも、と思っていたが
こういうことか
と静かに言い
私を殺すことが父・イワレヒコの望むことなのか?
と問う
黒速は頭を振りながら
違うと思います
と応え短剣を下ろしその場に崩れた
#ヌカワミミ 7
殺意の消えた黒速を失望の目で見ながらも
イスズ姫は、ここまでか、と諦めかけていた
タギシミミは安堵の色を浮かべ
磯城一族の処分を考え始めた
が、その時
黒速・イスズ姫の間を何かが通り抜けた
そして王の体から血が噴き出し
突進した物体が真っ赤に染まった
王に短剣が刺さっていた
#ヌカワミミ 8
真っ赤に染まった物体
それはまだ子供の体をしたヌカワミミだった
誇らしげな顔をして
黒速・イスズ姫を見返した
小鬼のような顔だった
もう今からではタギシミミは助からない
介錯をする意味で
黒速は自らの短剣でとどめを刺した
わずか半年ほどでタギシミミの治世は閉じた
#ヌカワミミ 9
叔父上がノロノロして役立たずだから
吾が手を下したんだよ
母上、褒めて!
と無邪気にヌカワミミは言う
母も満面の笑みでそれに応える
この二人を見てると
もしか、私は恐ろしい計画をしてしまったのか?
という後悔が黒速の心を占めた
しかしその思いにとらわれている時間は無い
#ヌカワミミ 10
タギシミミの死、ヌカワミミの血を浴びた姿を
宮臣にどう説明しよう?
と黒速は新たな悩みを抱えたが
イスズ姫が思いのほか速く
宮臣を集めて報告した
王タギシミミは子供のヌカワミミを
寝所に呼びつけ殺そうとしました
やむなくヌカワミミは応戦し
不幸にも王を葬ってしまったのです
#ヌカワミミ 11
イスズ姫の報告を疑う宮臣はいなかった
排除しようとして殺されたなら仕方いよな、と
さらにイスズ姫は声をあげた
不運が訪れたといえ
我々は次なる王を決めなければなりません
我が子、ヤヌイミミはどうでしょう?
宮臣は皆異存無かった
しかし
ちょっと待ってください
と言う者がいた
#ヌカワミミ 12
他でもない、それは
ヤヌイミミだった
吾は…吾は…タギシミミの跡は継げません
本当のことは言えず
肩を、声を震わせながら言った
しかし宮臣たちは
タギシミミに襲われて
怖かったので震えてるんだろう
と勘違いしていた
そしてヤヌイミミの言葉を待ってたように
イスズ姫は言った
#ヌカワミミ 13
では
ヤヌイミミが正気に戻り
継ぐ気になるまで
弟のヌカワミミに
代わりを務めていただきましょう
とイスズ姫
ヌカワミミは
兄のことなど全く気にせず
承諾の意味で、母に満面の笑みを浮かべた
ヤヌイミミは
何か気持ち悪いものを見た気がして
その場を去った
もうここには居たくない
#ヌカワミミ 14
タギシミミの殯もそこそこに
ヌカワミミが王に即位した
まだ子供の王であったが
磯城一族がバックにいるから
宮臣たちも以前と変わらず王に仕えた
ただ実際は母イスズ姫の傀儡で
王よりはイスズ姫の機嫌を伺う日々
やや意外なことに
王は母ではなく、自身の妹を愛し
寝食を共にしていた
#ヌカワミミ 15
母イスズ姫はヌカワミミを
息子として以上に愛すことは無かった
だからヌカワミミは
イスズ姫の面影を残した妹を
自身の妻のように愛した
もちろん正妃とすることはできず
また血が濃すぎるため子は育たなかった
王の血統は叔母イスズヨリ姫の子タマテミ
に移っていくこととなる
#ヌカワミミ 16
ヌカワミミは父やタギシミミの白橿原宮
ではなく
磯城一族の本拠地である
三輪山の麓に宮(皇居)を設けた
そこで自身が権勢を奮うことは無く
母イスズ姫、そして黒速が
イワレヒコ王国の盤石な基礎を築いて行った
ヌカワミミは16才で即位し
8年後の24才で薨った
早すぎる死であった
※綏靖(すいぜい)天皇の宮は葛城高丘宮(今の御所市)では無かったと考えてます。(「葛城」というのも誤って伝えられてると)
#ヌカワミミ 17
ヌカワミミの兄ヤヌイミミは
慕っていたタギシミミが
一族の陰謀で亡き者にされたことに失望し
また亡き王を弔うために
伊都国に旅立ち
タギシミミの母に
亡くなったことを報告した
そしてヤヌイミミはそのまま伊都国で暮らし
その地で妻と子を得て
穏やかで平和な余生を過ごした
これでヌカワミミ(綏靖天皇)のお話は終わりです。
次からタマテミ(安寧天皇)のお話ですが、次天皇からしばらくは家系的な話だけで、短くなると思います。
イワレヒコ-神武東征 第4部「決戦~即位~完」
東征完了後は、イワレヒコ王国=初期大和王国の物語に移っていきます。
#イワレヒコ 61
丘の上で剣をかざすと何が起きる?
イワレヒコは怪訝に思ったが
ゆっくり考えてる暇はない
もう運を天に任す!
と腹をくくり、自軍が左展開するのを見ながら
周りから良く見える丘に上がった
すると右の方(敵左翼)にウマシマチの一隊が
じっと様子をうかがってるのが見えた
そうか!
#イワレヒコ 62
左翼でじっと様子を伺っていたウマシマチ
突破口を開けないイワレヒコ軍を見て
寝返らなくて良かったかな
と結論を出そうかと思ってた矢先
不意に丘の上に光るものを見た
イワレヒコが白く光る剣をかざし
周りを鏡で囲んだ光のヴェールを見た
ウマシマチは神を見た!と思った
#イワレヒコ 63
吾はこの人に附いて行く
直感的に思ったウマシマチ
理由はない、ただそう思った
そしてミマツヒコの部隊に突進していった
イワレヒコの右の方から左動く
ウマシマチの部隊を見て
イワレヒコは確信した、勝てる!
一時もしないうちにミマツヒコは捕えられ
イワレヒコの前に差し出された
#イワレヒコ 64
ミマツヒコ(長脛彦)は
キッとイワレヒコをそしてウマシマチを
睨んでウマシマチに言った
叔父の吾をなぜ裏切る!
お前は何がしたいのだ!
父・ニギハヤヒに申し訳ないと思わんのか!
ウマシマチは
すみません
父と同じ天孫のこの人が
中洲に王国を建てる未来を夢見たのです
と応えた
#イワレヒコ 65
ウマシマチの懇願で
ミマツヒコは中洲を追放されることになった
呪詛の言葉を吐き何処かへ去るミマツヒコを見ながら
イワレヒコはこの旅の終わりを感じた
完了して王国建設を始める為には
まだまだすべきことがあるが
伊都の故郷を
兄イズセを思いながら
吾は成し遂げましたよ
と呟いた
#イワレヒコ 66
イワレヒコ!感慨に浸るのはまだ早いっすよ
珍彦、タグリヒコ、ニウヒコ、エヒコ、オトウカシ、オトシキ
が周りを囲んでイワレヒコに言った
そうだな、まだ押さえなければいけない
邑や一族があちこちにいる
中洲統一のためにもうひと頑張りだ!
少し離れてウマシマチも頷いていた
#イワレヒコ 67
イワレヒコ王と親衛隊たちは
昔奈良盆地にあった大和湖に沿って
南から西・北・東と順に
素直に従わない邑・一族を平らげていった
そして最初の南の地
土を採取して神捧げる器を焼いた天香久山が良く見え
後に畝傍山の守りのある白橿原に
王の館を建てた
イワレヒコ26歳の年だった
#イワレヒコ 68
オトシキの又名を黒速(クロハヤ)と言う
黒速はミマツヒコ(長脛彦)との決戦に
勝利してから考えていた
兄・エシキと生き残った方が磯城の家系を継いでいこう
と二人で決めたこと
生き残った自分が継いでいくためには…
イワレヒコと共に子孫を繁栄させる
それがベストな方法だ、と
#イワレヒコ 69
黒速(オトシキ)はイワレヒコに言う
国を構え宮を構え次はお妃さまですね
吾が王に相応しい美女を連れて参ります
するとイワレヒコは
いや、元の国に嫁と息子がいるんだ
ここに呼ぼうかと思ってる
側女で良いなら見たいが…
と予想もしてなかったことを言った
これはヤバい、と黒速
#イワレヒコ 70
結局イワレヒコの故地に居た嫁は来ない
息子タギシミミ、キスミミは来る結果になり
黒速の構想は崩れながらも
将来に一縷の望みをつないだ
とりあえず吾が家の女子を妃にして
息子を設ければ
その先はどう転ぶか分からない
何とかなる!と
黒速の妹をイワレヒコに紹介する事にした
#イワレヒコ 71
黒速の妹はイスズ媛
美人ではないが人見知りせず
可愛がられるタイプ
イワレヒコのどストライクかは不明も
気に入った様子で間髪おかず妃にすると表明
白樫原の宮が完成し息子タギシミミも到着したので
王の即位式とイスズ正妃(皇后)との祝言を挙げた
イワレヒコの夢見た瞬間だった
#イワレヒコ 72
奈良盆地の南半を支配地として
王に就いたイワレヒコ
九州・伊都国から息子のタギシミミを迎え
彼を自分の後継に据えるつもり
と周りから聞いた黒速は
これはいかん!
と焦った
イワレヒコに嫁がせた妹のイスズ姫に
1日も早く男子を産みなさい
と言った
イスズ姫は微笑みながら頷いた
#イワレヒコ 73
かと言って
イスズ姫からイワレヒコにアピールはせず
いつも宮の中で明るく微笑んで
楽しく過ごしていた
それが逆にイワレヒコの恋心を刺激した
イスズ姫を寵愛した
数年のうちに3人の子が出来た
3人ともすくすく成長した
しかしタギシミミを後継とするイワレヒコの心は変わらなかった
#イワレヒコ 74
イスズ姫はヤヌイ、ヌカワの2人の男の子と
1人の女の子を産み育てた
ヤヌイは不思議とタギシミミになつき
タギシ兄と呼んで仲良くしていた
母イスズ姫は自然と弟のヌカワを可愛がり
貴方はタギシミミより偉いのよ
成人したら貴方が王になるのよ
と夫の意に反した帝王教育を施した
#イワレヒコ 75
そんな妃・イスズ姫や後ろ盾の磯城一族・黒速の
黒い野望など露知らず
畝傍山の麓の宮を
天孫族のルーツである邪馬台国のある
山本の地名を拝借して山本の宮
治める国を山本の国と呼んで治めた
これが後にヤマト王国と呼ばれる
またイスズ姫の妹のイスズヨリ姫も妃として迎えた
#イワレヒコ 76
イワレヒコは山本の国を得て
それで十分に満足し
国を広げること無く
しかし建国の功臣たちの協力の元
国をしっかりと治め
26才で王位についてから20年程王の務めを果たし
46才の時天寿を全うして
息子のタギシミミに位を譲った
イワレヒコは伊都国王家の血統が
永続すると思っていた
引き続きヌ(ナ)カワミミ(綏靖天皇)物語になります(続く)
イワレヒコ-神武東征 第3部「中洲突入-決戦」
おさらいです。出発地は筑紫・伊都国(糸島市)、難波から紀伊水門を経由し、紀ノ川遡上~吉野~宇陀~橿原が正しい東征のルートと考えています。
#イワレヒコ 41
イワレヒコ一行は早速近くの高倉山に登り
中洲の方向を見渡した
オトウカシの情報通りあちこちの山腹砦に
煙が立ち上るのが見えた
珍彦は言った
敵はまとまると強大っすよ
ここは静かに近づいて行って
各個撃破!そのためには策を弄する必要ありっす
イワレヒコもそれに異存は無かった
#イワレヒコ 42
イワレヒコは動き出す前に願をかけておきたかった
オトウカシに聞いた
中洲で1番近い聖なる山は?
答えは
あそこにポツンとあるなだらかな嵩山(天香山)です
ならその山のものをとってきて欲しい、そうだな、土を
人選は敵地に入って行くので
珍彦と道案内としてオトウカシになった
#イワレヒコ 43
珍彦は爺さん、オトウカシは婆さんに変身した
あまりに似合いすぎてイワレヒコたちに爆笑されたが
これなら敵にバレまい
二人はまる1日かけて山の土をとって戻ってきた
そしてその土で捧げ物を盛る器を作り
流れの清らかな川でこの地の神と天孫の神に祈りを捧げた
これで望みは叶う!
#イワレヒコ 44
イワレヒコたちは慎重に前進し国見ケ丘に差し掛かる
偵察により
敵の女軍には名草の女性兵士を
男軍には珍彦の配下の兵士を
それぞれ当たらせ
残りは伏兵として途中から一気呵成して
雌雄を決した
会心の勝利で気を良くしたイワレヒコに
ニウヒコ(道臣命)が進言した
#イワレヒコ 45
ニウヒコ(道臣命)は
山を降りて磐余の兵を我々の女兵隊が
おびき寄せますので
残りの兵を東から廻して
挟み撃ちにしてはどうでしょう?
と言う
イワレヒコは賛成だったが
その前に磐余の磯城兄弟を味方につくよう
誘ってみよう
と返した
その交渉にエヒコ(八咫烏)が赴いた
#イワレヒコ 46
エヒコ(八咫烏)が磯城兄弟を訪れイワレヒコの意向を伝えた後
兄弟は話し合った
今日が吾達の、磯城氏族の
運命の分かれ道かもしれんなぁ
だから弟よ、どちらに転んでも磯城が滅びぬよう
二人は袂を分かとう
兄は残って中洲連合を支える
弟はイワレヒコに従え
それで磯城は生き残る
#イワレヒコ 47
磯城兄弟の敵味方分かれる返事に
少し違和感感じながらも
イワレヒコは磐余支配のために進軍を始めた
オトシキ(弟磯城)は山側で後詰待機していたが
こちらの囮女軍にエシキ(兄磯城)達が突っ込んでくるのが見える
ここでイワレヒコを裏切って兄側に付けば
兄は勝てるだろうか?
#イワレヒコ 48
そうオトシキが思った瞬間、イワレヒコが
今だ!包んで殲滅しろー!
と号令し、弓部隊がブンブンと弓を射る
イワレヒコ軍団には若さと勢いと力強さと未来がある
そして自分もその中で活躍するビジョンを見てしまった
オトシキは寝返るのを止め
許せ!と呟きながら兄の軍に突進した
#イワレヒコ 49
イワレヒコはエシキの軍を蹴散らし
磯城を、磐余を制圧し平野に出る権利を得た
この地を支配し連合の一員としてスタートする
のもありかも
と一瞬思ったが
兄イズセの無念を晴らさなければ
そして今自分に付いてきた非主流派の人々に
夢を与えなければ
だから長脛彦との決着をつける!
#イワレヒコ 50
オトシキ、オトウカシ、エヒコ(八咫烏)
ニェモ、イヒカ、イワオ
ニウヒコ(道臣命)、タグリヒコ(高倉下命)、珍彦
彼らのためにもイワレヒコは
この中洲の王とならなければならない
そしてこの地を伊都国のように
吾の都としたい
そう兄に誓い
この地の神と天孫の神に祈りを捧げた
#イワレヒコ 51
次の日朝早くからイワレヒコは進軍を始めた
そしてすぐに北からの大軍とぶつかり足を止めた
両軍が対峙したまま互いの長らしき者が前へ出る
吾は中洲連合の代表、ミマツヒコ(長脛彦)なり
吾は西の伊都国王族、イワレヒコなり
お互いいきなり戦をせず
交渉することにした
#イワレヒコ 52
イワレヒコ!中洲連合の一員となるか
それが不服なら、西に帰れ
吾たちの平和を妨げるな
とミマツヒコは言う
兄を殺した奴の仲間になれるか
とイワレヒコは思ったが
敵軍の中に同じ色・形の弓矢を靭に収めた一軍を見つけ
不意に気が変わった
考え直して明朝来る
とミマツヒコに言った
#イワレヒコ 53
あれは西から来た者の兵に違いない
名は何という?
イワレヒコはオトシキ、オトウカシに問うた
彼らは応える
親父の代にニギハヤヒと言う人が現れ
あっという間にこの中洲をまとめ上げ
連合を組織しました
今はウマシマチという孫が継いでいます
ニギハヤヒかぁ
イワレヒコは呟いた
#イワレヒコ 54
ニギハヤヒかぁ
良く知らんが吾達天孫から早くに
分かれた人なのかなぁ、仲間にしたい
エヒコ!
ウマシマチを訪れ
吾が王族に仕え天孫の名を世に広めぬか?
と問うてくれ
イワレヒコはエヒコに命じた
すると珍彦とタグリヒコが
それに附いて行くと申し出た
何か秘策があるのか?
#イワレヒコ 55
…と申しております
ウマシマチを訪れたエヒコが言った
だがウマシマチはあまり浮かぬ顔だった
天孫のプライドにはそんなに関心は無かったし
それで寝返る気にはなれなかった
不意にタグリヒコが剣をもって近づく
珍彦もキラキラ光る鏡をもって
ウマシマチに詰め寄った
#イワレヒコ 56
私が持つこの素晴らしい剣、とタグリヒコ
私が持つこの美しい鏡、と珍彦
二人は声を揃えて
これらを貴方に差し上げ
これからも貴方に贈り管理していただきます
どうですか?
宝物を間近に
ウマシマチはうっとりと見ていた
それなら寝返るのも悪くないかもな
心の中で呟いた
#イワレヒコ 57
ウマシマチから快諾の返事はもらえませんでした
しかし吾達の提案を聞いた時の目は輝いてました
なので、もう一押しすればいけるかと…
と珍彦はイワレヒコに報告し
耳元で何かを呟いた
イワレヒコは一瞬「えっ?」という顔をしたが
すぐに納得して頷いた
では明朝出陣する!
#イワレヒコ 58
イワレヒコ軍は日の出とともに北西に進み
待ち構えるミマツヒコ(長脛彦)軍と対峙する
イワレヒコ!吾達の連合に加わらねば
お前たちを殲滅するぞ!
とミマツヒコ
吾を信じて付いてきた者のために
吾はこの地の王となる
服従はせぬ!
とイワレヒコ
戦いは不可避と知り正面から戦闘開始
#イワレヒコ 59
正面から
と言ってもがっぷり四つでは
ミマツヒコ軍の物量に負けてしまう
そこはヒット&アウェイ
押したり引いたり
で、相手を揺さぶろうとするが
自信満々のミマツヒコは
デンと構えて揺さぶりには応じない
このままではじりじり押されて
時と共に敗色濃厚になる
イワレヒコは焦った
#イワレヒコ 60
どうしよう?
このままでは吾と兄の夢が潰えてしまう
その時珍彦とタグリヒコが現れ言った
イワレヒコ!
わが軍を左側に集めそこから敵を総攻撃しましょう
吾は軍を移動し、準備できたら
あの丘の上で剣をかざし開始の合図をしてくだせー
これが成功するかどうかで
命運が決します
(第4部に続く)
イワレヒコ-神武東征 第2部「紀ノ川遡上-宇陀 建国の士集う」
イズセ(五瀬命)の死後、イワレヒコ一行は紀の川河口から遡上し、吉野~宇陀へのルートを進みます。
#イワレヒコ 21
名草邑のナグサヒメは静かに現れたイワレヒコ一行を追い払うべく
一斉に弓を射かけてきた
イワレヒコは最初から
矢を受ける囮隊と敵の背後に回る別動隊に分け
ナグサヒメ達を挟撃しこれに勝利した
ヒメは自決したが部下の女性兵士は
先々役に立つと考え自軍の兵士とした
#イワレヒコ 22
名草邑からあまり離れてない
紀伊水道と紀の川が見渡せる小高い丘に
兄イズセを葬った
窯山というところ
ここから紀の川を遡上して
吉野から神の住む大地へと入り込む
名草女兵に聞くと途中に丹が沢山取れる邑があるそうだ
兄に別れを告げてイワレヒコは出立した
#イワレヒコ 23
河を遡上するため珍彦の指示で海舟を改造や
河船を新た入手し終え出発しようとした直前
眼に黥を施した体格の良い男が現れ
帰順と道案内役を申し出ました
名草邑の近くに住み、イワレヒコ軍の話を聞いて現れたようです
イワレヒコは彼を「サケトメ」(道臣命)と名付けました
#イワレヒコ 24
サケトメ(道臣)の案内で紀の川をゆっくりと遡るが
イワレヒコは丹の事が気になって彼に問うた
この先、狭野(かつらぎ町)の奥に
隈野(くまの)という地があって
そこでニウヒメの一族が丹を造ってるとのこと
イワレヒコはイズセのために入手したいと考え
そこに向かうことにした
#イワレヒコ 25
イワレヒコは丹に不老不死の力があるので
もしかしたら兄も蘇らせられるかもと淡く期待していた
だから隈野に寄り道しようと思った
サケトメは自分の庭のようにスイスイ進んでいく
イワレヒコはそれに附いて行く
珍彦は慣れない土地であるのと
行く手に不安を感じてゆっくり附いて行く
#イワレヒコ 26
隈野の森では何かを燃やしてる灯がついてて
不気味に明るい
いつの間にかサケトメの姿が消え
何か大きな影がユラユラしてる
そして急に周りの者が咳き込んだり、ふらついたり
何かおかしいぞ?!
イワレヒコは直感的に丹が煮えて毒を発してる
と感づいて布を口に当て姿勢を低くした
#イワレヒコ 27
ユラユラする影がいきなり大きくなってイワレヒコに突進してきた
寸前でかわしてじっと見るとそれはサケトメだった
ナグサヒメの弔いじゃ、貴様にはここで潰えてもらう!
と斬りかかってきた
が、そこに割って入ってきた者がいた
それを見て
タグリヒコ!待ってたぞ!
珍彦が叫んだ
#イワレヒコ 28
タグリヒコと呼ばれた石川五右衛門風の男は
サケトメの剣を払いのけその喉元に自身の剣を突き付けた
サケトメも大柄で力はあったが一瞬で勝負がついた
イワレヒコは言った
名草邑を蹂躙したのは、吾の望みを果たすため
すまなかったが、これからは吾のために生きてくれぬか?
#イワレヒコ 29
サケトメは観念して身を投げ出したが
イワレヒコは殺そうとはしない
仕方なくサケトメは悲しそうに消えて行った
珍彦はイワレヒコに
タグリはわしの従弟です
必ずイワレヒコの力になれると思い
わしらに同行するように頼みました
いやぁタイミングよく現れてくれて助かった
と言った
#イワレヒコ 30
タグリ(高倉下)はイワレヒコにひと言
ウッス
と挨拶した
愛想ないなーと思いながらも
立派な剣を持ち、剣豪の風貌した彼を頼もしく思った
ニウヒメはナグサヒメと同一人物で
ここもテリトリーにしてたらしい
後日、丹をもらい受ける約をして
隈野を後にした
目指すは中洲(大和)
#イワレヒコ 31
伊都国を出たときは20人程だった一行も
今は100人を優に超える軍団になっていた
そんな大勢でワイワイ河を遡るから自然と注目を浴びる
そして邑からあぶれた者達がさらに仲間に加わる
鳥の羽を形どった帽子をかぶったエヒコ(八咫烏)も
そんな1人だった
こっから先はオラが案内するさ
#イワレヒコ 32
吉野川の流れになってからエヒコ(八咫烏)の案内で
さらに河を登る
そしてエヒコが先頭に立って歩くと
どんどん共に歩む人が増えてくる
ニェモ、イヒカ、イワオ
みんな河で生活する、エヒコの友達だった
イワレヒコは大所帯になっていくのを
前途洋々の兆しと思って楽しんでいた
#イワレヒコ 33
エヒコがイワレヒコに言った
ちょっとあの高い"岳さん"に登りましょうや
頂上に着くと北西に中洲(大和盆地)が広がっていた
ここが兄の求めた理想郷かぁ
イワレヒコは涙ぐみ、そして奮い立った
エヒコは
ちょっと遠回りだけど少し東に進んで
仲間をもう少し集めましょう
と言った
#イワレヒコ 34
一行は吉野川から高見川を遡り、宇陀に向かった
エヒコは
宇陀にウカシ兄弟という、あっしの親せきがいるんでさぁ
そいつらに加勢を頼みましょう
中州に入るまでも、入ってからも
争わなけりゃいけない敵は沢山っす
ちょっとあっしは先に行って話付けてきまっさ
と言い風のように消えた
#イワレヒコ 35
半日ほどしてエヒコが戻ってきた
ウカシの弟は一つ返事で承諾!だったけど
兄の方はしぶしぶ、まぁいいよって感じでさぁ
とにかく行って挨拶しましょうや
と言うので
イワレヒコ一行は、少し不安に感じながらも
川に舟を留めて
山に挟まれた街道を北上した
珍彦は周囲を警戒していた
#イワレヒコ 36
崖の上の方で悲鳴がして大きな岩と人が降ってきた
イワレヒコ一行は全員無事避けきれた
エヒコはすかさず言う
こいつエウカシじゃねーか?なんで落ちてきて死んでんだ?
その後崖をゆっくり大きな男が降りてくる
丹生邑で消えたサケトメだった
イワレヒコを見て驚いた顔をしてる
#イワレヒコ 37
イワレヒコは経緯を聞いた
サケトメは
丹の取れる石を探してたら岩を落とそうと潜んでる男を見つけて
何やら悪い事が起こる予感がしたので
さらに上から私が岩を落としてやったんです
男は岩と共に落ちましたが
その下にイワレヒコがおられるとは
イワレヒコはサケトメに感謝しました
#イワレヒコ 38
やはり私の仲間に加わり
私の夢を手伝ってくれないか?
イワレヒコはサケトメを再び誘った
イワレヒコに再会しこうしてお救い出来たのは
縁かもしれません
国造りのお手伝いさせて下さい
サケトメはこう応え、新たな呼び名をいただいた
ニヒコ(丹彦)と
名草の戦士の隊長となった
#イワレヒコ 39
意気揚々とイワレヒコは一行と共に宇陀に到着
オトウカシ(ウカシの弟)は邑の入り口で頭を伏して待っていた
恭順を誓ったのに
兄がバカなことをして
お許しください
全員を招いて恭順の宴を開き
中洲連合についての情報をお伝えします
さぁどうぞお入りください
珍彦も宴と聞き喜んだ
#イワレヒコ 40
宴は大盛り上がり
鴫だ!鯨だ!と大騒ぎ
が、オトウカシが話始めると急に静かになった
この先中洲に進めば
あちこちの高台で兵士が待ち構えてます
イワレヒコ一行も強そうですが
中洲連合は人数で優ってます
イワレヒコは応えた
吾達は一度負けた
だからこそ負ける訳にはいかない、と
(第3部に続く)
イワレヒコ-神武東征 第0部「創世」
イワレヒコ(神武天皇)が東征を始める前の舞台(状況)です。創作ではなく、これが真実の歴史!と思って書いてます。
#イワレヒコ 0-1
紀元2世紀(AD100前後)原始邪馬台国は
高天原(久留米市高良山付近)に都を構え(卑弥呼の150年ほど前)
栄えていたが
そこからイワレヒコの祖父ニニギが分家して
偶然か必然かは不明も糸島半島の「日向(ひむか)」で
伊都王国を打ち建て原始邪馬台国連合の一国となった
#イワレヒコ 0-2
イワレヒコの祖父はニニギ
父はホオリで
豊玉媛との間の子がナギサ
玉依媛との間の子がイズセ、イナヒ、イワレヒコ
イワレヒコの東征完了までの名はわからない
サノ?ホホデミ?イワレ?
本Tweetでは便宜的にイワレヒコと呼んでいる
既に妻子がいたが東征には随行してない
#イワレヒコ 0-3
邪馬台国分家の伊都国は
父ホオリ、兄ナギサが宗家として継いでいる
庶子のイズセ、イワレヒコは国を継げないので
出奔して東に新天地を求めた
それがA.D.175の頃で、イワレヒコが20歳過ぎの時
卑弥呼が登場するのはその50年後
ちなみにイワレヒコの崩御はA.D.194頃
(創世-終)
イワレヒコ-神武東征 第1部「船出-手痛い敗退」
Twitterで呟いてるイワレヒコの物語風東征説話をこちらに転載します。
#イワレヒコ①
20歳を過ぎたばかりのイワレヒコは伊都から玄界灘を見渡しながら
この国では王にはなれないので東に新天地を求めに出立する
兄のイズセノミコトに向かって言った
「兄ちゃんについてく、んで兄ちゃんが東の王になれるように
吾は陰から支えるよ!ここが出発地だね」
兄は静かに頷いた
#イワレヒコ②
伊都から数日で岡水門(洞海湾)に着いた一行
ここで食料や武器を調達していたが、次兄のイナヒノミコトが突然言った
「やっぱワシはイズセ兄とは別行動で身を起こしてみるわ
とりあえず先祖が来た北方向、新羅あたりにでも行こうかな」
イワレヒコはイナヒの突然の発言にポカンであった
#イワレヒコ③
兄イズセ&配下の者達と共に岡水門を起ったイワレヒコ
関門海峡を抜けると偶然に宇佐津彦・媛に出会い彼らの島に招かれた
柱1本で壁の無い宴会場で歓待を受けたが一行は先を急ぎたかった
宇佐津彦は「まぁ焦りなさんな、わしの子分たちに瀬戸を案内をさせよう、役に立つよ」と嬉しい提案
#イワレヒコ④
宇佐で瀬戸の案内役を借りて一行は瀬戸の北側を進み阿岐に着いた
ここに人はいたがあまり多くなかった
イズセは「眺めがええのー、こりゃ気持ちが滾るわ、やけどここは伊都からまだ近い、も少し東に行きたか」と言った
イワレヒコは(ここでもいいんじゃない?)と思ったが黙っていた
#イワレヒコ⑤
一行は後に児島と呼ばれる島の北側に着き上陸しようとしたが、人が多い
伊都も多かったが同じくらいいる
もし争いになったら吾たちは勝てるだろうか?
今のイワレヒコ達では勝てる自信が無かったのでそこでの上陸を諦め
島の南側に回ってひっそり上陸した
ここは大丈夫そうだ
#イワレヒコ⑥
イワレヒコ一行は高島(後の児島)の南側で
北に広がる平地にいる民衆たちの偵察
自分たちと共に戦える人員の増強(近隣の島から戦闘員集め)
武器の増強をするためじっくりとここに留まった
イワレヒコはこの地にあまり魅力を感じてなかったが
次への飛躍のためと我慢の日々
#イワレヒコ⑦
一行は十分な戦闘員を集められたので、高島の北側の平野に進攻し
これを平らげることが出来た
ただイズセもイワレヒコもこの地に留まる気持ちはなく
増えた一行の食糧・武器をこの地で十分に確保できたので
さらに東へと進んだ
しかしこの高島で1年ほど時間が過ぎてしまった
#イワレヒコ⑧
高島を出て、イワレヒコはイズセから囁かれた
瀬戸を日縦に渡れば東陸に突き当たる
その山を越えれば金(鉱脈)や朱(水銀)がたんまりあって
そこで王国を築けるんだ
だから吾はさらに東に向かおうと思う、と
イワレヒコは朱が不死の力を持つと信じており
永遠の命を手にできると喜んだ
#イワレヒコ⑨
一行が明石海峡が見えるあたりまで来た時一艘の船が近づく
おまえさんがたー大勢でどこ行きなさるねー?
イズセが応える
吾達は海峡渡って東に上陸するが?
えー?大勢で海峡入ってったらここの主に止められ皆捕まるちゃー
と、珍彦という漁師か海賊か分からないやつが大声で言った
#イワレヒコ⑩
珍彦は明石海峡を牛耳ってる親玉だった
イワレヒコ達が凡人であれば略奪してやろう、と思ってたが
何か大きなことをやってくれそうな魅力の兄弟だった
だから珍彦は難波の岬まで案内を買って出た
ワシたちが付いてりゃ百人力でさぁー
イワレヒコも珍彦の気さくさを気に入ったようだ
#イワレヒコ 11
珍彦の案内で難波の岬(大阪城公園付近)に到達した一行
入江(河内湖)から上陸すれば大勢の敵がいると思うが勝算あるんかね?
珍彦の問いにイズセは答えた
無いが、闘ってみなきゃわからんだろ?
楽々と勝てる人員は揃ってないが
この兄弟に乗っかるのも悪くないか、と珍彦は思った
#イワレヒコ 12
草香津(東大阪市日下)に上陸した一行はやや南に下って
信貴山あたりを越えて竜田に出ようとしたが思った以上に山が峻嶮で
一旦、草香に引き返すことにした
おいおい、お坊ちゃん達大丈夫かね
珍彦は思った
理想郷にたどり着くのは容易くはないかぁ
とイワレヒコは迷走を楽しんでいた
#イワレヒコ 13
信貴山から引き返し生駒越えをしようと草香津に戻った時
急に三百人くらいの軍勢が現れた
イワレヒコの軍勢は百人くらいだ、このまま戦えば劣勢すぎる
退路を塞がれたから舟に乗って逃げることもできない
こりゃヤバいわ
ずっと山向こうの国の人から監視されてたんだな
珍彦は焦った
#イワレヒコ 14
敵軍勢の長らしき者が言った
筑紫からぞろぞろと観光か?
ここは遊ぶとこじゃねぇぞ
ワシたちが平和に暮らしてんのじゃ
入江の鰐の餌にしてくれるわ!
珍彦は知ってる、ありゃ登美の長脛彦じゃねえか
こりゃ逃げるが勝ち
と後ろを向こうとしたとき、ムズと腕をつかまれた
イワレヒコに
#イワレヒコ 15
イズセと長脛彦は対峙したまま次の動きを探っている
逃げたいvs一網打尽にしたい
その緊迫の中
イワレヒコは珍彦の腕をつかんで言った
こっそり鏡と盾を沢山あそこに並べて置いて!
珍彦が言われた通りにすると
イワレヒコはササっと角度を調整し
イズセ他にここまで下がれと言った
#イワレヒコ 16
対峙した長脛彦に向かってイワレヒコは叫んだ
ほら、吾たちが怖いのかー?早く来いよw
長脛彦は煽りにぐぬぬと歯ぎしりし
皆、あやつらを捕えて鏖せ!
と命令した
そして、敵一団がある地点まで来ると
鏡や盾がキラッと光り回りが何も見えなくなった
イワレヒコはニヤリとほくそ笑んだ
#イワレヒコ 17
敵が動けなくなった隙に逃げるんだ!
イワレヒコが叫ぶと一行は舟に向かって走り出した
しかし、殿となったイワレヒコ、珍彦が動き出すころには
敵たちも反撃の弓矢を撃ち込んできた
かわそうとしたイワレヒコに意外な方向から矢が命中!
と覚悟した寸前にイズセが現れその矢を受けた
#イワレヒコ 18
イズセに刺さった矢は深く、その場で動けなくなった
兄上!ごめんなさいっ!私のために…
イワレヒコは泣きながら兄をおぶさり、珍彦が矢や追っ手を振り払う
何とか船に乗り込み沖に出られたが
兄は動かないまま
イワレヒコは自分や一行の力不足を痛感し
捲土重来を兄に誓った
#イワレヒコ 19
矢傷に倒れたイズセを連れ一行は雄水門(泉南市男里)に上陸し
手当てしたが回復することは無かった、最期に
心残りなり、吾が王国を見たかった!と力弱く叫んで絶命した
珍彦の勧めでイワレヒコは紀の川を遡上して
山向こうのユートピアを目指し
王国を建てると兄に誓った
#イワレヒコ 20
珍彦の提案で再起の決意と同中のご加護を得るため
イズセの亡骸を紀の川河口に葬ることに決め
一行は南下し河口にたどり着いた
しかしここでも見張りに発見されたことで既に軍勢が待ち構えていた
名草邑の女族長の一軍であった
兄上、しばしここでお待ちください
イワレヒコは言った
(21-へ続く)
古代史考察-2吉備氏外観 前方後円墳・前方後方墳・円墳まとめ
吉備氏に纏わる(と私が考える)前方後円墳・前方後方墳・円墳は全て訪問しましたので表にまとめてみました。
1.兄・吉備津彦(上道氏)系統
NO | 形態 | 古墳名 | 推定被葬者 | 世代 | 全長 | 造墳時期 |
---|---|---|---|---|---|---|
01 | 方円 | 浦間茶臼山古墳 | 五十芹彦命 | 初代 | 140m | 4C前半 |
02 | 方円 | 湊茶臼山古墳 | - | - | 125m | 4C中頃~後半 |
03 | 方方 | 操山109号墳 | 高田姫 | 初代 | 76m | 4C前半 |
04 | 方円 | 網浜茶臼山古墳 | 日子刺方別命 | 2代 | 92m | 4C中頃 |
05 | 方方 | 備前車塚古墳 | 吉備武彦命・母 | 2代 | 48m | 4C中頃 |
06 | 方円 | 金蔵山古墳 | 吉備武彦命 | 3代 | 165m | 4C後半 |
07 | 方円 | 宍甘山王山古墳 | 穴戸武媛 | 3代 | 68m | 4C後半 |
08 | 方円 | 神宮寺山古墳 | 浦凝別命 | 4代 | 155m | 5C初 |
09 | 方円 | 一本松古墳 | 葦守武彦命 | 5代 | 65m | 5C前半 |
10 | 方円 | 玉井丸山古墳 | 稲生臣 | 6代 | 150m | 5C中頃 |
11 | 方円 | 両宮山古墳 | 田狭臣 | 7代 | 206m | 5C後半 |
(形態:方円-前方後円墳、方方-前方後方墳)
上道氏エリアで吉備氏(上道氏)直系に関係なさそうと思われる古墳(片山古墳、一日市古墳、操山古墳群など)は訪問・考察の対象外とさせていただきました。(関係あるかもしれませんが)
また吉備氏関係でも古墳後期、末期のものは省かせていただきました。(牟佐大塚訪問しましたが)
それにしても一本松古墳の小ささは気になります。出土品からみれば男性首長であろうと思われますし。比定が違うのか、それとも100m級の陵墓を築けない事情があったのか…
2.弟・吉備津彦(下道氏)系統
NO | 形態 | 古墳名 | 推定被葬者 | 世代 | 全長 | 造墳時期 |
---|---|---|---|---|---|---|
01 | 方円 | 中山茶臼山古墳 | 彦狭島命 | 初代 | 105m | 4C前半 |
02 | 方円 | 矢藤治山古墳 | 彦狭島命・妃 | 初代 | 35m | 4C前半 |
03 | 方円 | 尾上車山古墳 | 稚古止男命 | 2代 | 138m | 4C中頃 |
04 | 方円 | 佐古田堂山古墳 | 御鋤友耳命 | 3代 | 150m | 4C後半 |
05 | 円 | 小盛山古墳 | 兄媛 | 4代 | 95m | 5C初 |
06 | 方円 | 造山古墳 | 御友別命 | 4代 | 350m | 5C前半 |
07 | 方円 | 作山古墳 | 稲速別命 | 5代 | 282m | 5C中頃 |
08 | 方円 | 小造山古墳 | 速津彦臣 | 6代 | 142m | 5C後半 |
09 | 方円 | 宿寺山古墳 | 窪屋臣 | 7代 | 118m | 5C後半 |
10 | 方円 | こうもり塚古墳古墳 | 津布子臣? | 8代? | 100m | 6C |
(形態:方円-前方後円墳、円ー円墳)
こちらも、下道氏エリアで吉備氏(下道氏)直系に関係なさそうと思われる古墳は訪問・考察の対象外とさせていただきました。(関係あるかもしれませんが)
また吉備氏関係でも、こうもり塚古墳以外の古墳後期、末期のものは省かせていただきました。(江崎古墳など)
やはり造山古墳、作山古墳の大きさは別格ですね。改めて応仁・仁徳朝でも下道氏の優遇がどれほどだったかを実感できます。
これで古墳築造状況からの吉備氏の考察をとりあえず完了とさせていただきます。
今後は吉備氏と姻戚関係を結び、吉備氏と同族関係になっていった氏族、賀陽臣氏、苑臣氏、笠臣氏、三野臣氏などの状況を文献や神社祭神などをたどって研究していくつもりです。
(直接関係ないけど吉備津彦神社・梅)